ボサの似合う屋根裏部屋で
南青山小路から「カフェ・レジュ・グルニエ」
NASCI/2001/2/24/20:23
青山には246や骨董通り、キラー通り、そして表参道と
メインストリートの華やかな賑わいもいいけれど
そんな道から少し入った路地裏も
様々に魅力的な小路が多い。
ここカフェ・レジュ・グルニエも
そんな車の入らない
ランブリングストリートを演出している
表参道を右に曲がりスパイラルで
小物やギャラリーを楽しんで
ちょうど歩き疲れた頃に
この路地はある
昔からよく訪れたお店に
ブリキのバケツを照明の傘にしていたパブ「ガスコン」
前のマスターにお世話になった「だいろ珈琲店」
お蕎麦や丼ものが美味しい「権兵エ」
お向かいの「クドウ洋菓子店」
そして路地も深まったところに
ラーメンの「だるまや」があり
その上にこの「カフェ・レジュ・グルニエ」がある。
その佇まいはパリ・カルチェラタンのアパートのようだ。
道路斜線で斜めに切られていく屋根に
いくつもの小さなバルコニーと窓をもつ小部屋たち
けっして屋根裏部屋というわけではないのだけど
グルニエとはそんな外観から決められた名前なのだろう
それぞれの窓からこぼれる灯に
学生や芸術家達の暮らしぶりを思わず想起してしまう
そんな趣きを持つ外観だ。
*
小窓近くの席
特に奥の部屋の窓際が好きだ
アールコーブになった２人掛けの席はとても落ち着く。
昔の小学校の頃の木の机を思い出させる席は
本を広げてゆっくりすることもできるし、
小さなバルコニー越しに
窓下の小路を行く人を何気なく眺めているのもいい。
渋谷の姉妹店「レジュードゥー」が開放的広がりをもって
少しざわざわした雰囲気であるのに対し、
ここは3つに空間が分節化され
その日の気分で違う雰囲気を楽しむことができる。
窓際のアールコーブは一人分がすっぽり収まるだけの席
だから漆喰壁のコーナーには愛用者たちが
のこしてしまった徴がいくつも見られる
*
君にはこの場所がとても
似合っているよ
その空気も光も
そして芳しい香りも
優しいボサが包み込んで
君をこの場に・・・
*
カウンターの席は暗いかもしれないけど
一人で夜に訪れる時はやはりこの空間に限る。
お店の人ともずいぶんとお話させてもらったかな。
BGMはたいていジャズかボサノバ
そういえば「GETZ/GILBERTO」をはじめて知ったのもこの空間だ。
珈琲はコクテル堂の豆でコロンビアベースの深みのある
ニレか少し酸味のあるレジュブレンドをいつも頼むことにしている。
*
なぜか懐かしく切なくさせるような
けだるくも甘い空気感
好きな本を片手に
またふらり
・・・
何度この階段を昇ったことだろう
そして
帰りの灯は
夢の終わりを
告げているようだ
